プーリーのお話

 スクーターの変速機で最も重要とされる部分がプーリーです。この部分が左右に動くことで全体の変速範囲が決まってしまうからです。プーリーの重要な部分としては、①プーリー表面部分の角度②ウエイトローラーのガイド(スロープ角度、スロープ範囲)、ランププレートを接続している③リブの3つになります。

•  プーリーの表面

プーリーの表面部分はドライブベルトに直接動力を伝達する部分で、角度が重要な要素となります。この角度は一般的に14度から15度で設定されている車種が多く、プーリーフェイスという部品とプーリーとでドライブベルトを挟むことにより動力が伝達されます。プーリーフェイスも14度15度の場合が多く合わせて28度から30度の角度が設定されています。

プーリーはエンジンの回転で遠心力を得ます、その遠心力の力からウエイトローラーが動く事でプーリーは左右に移動します。遠心力が最大になった所でウエイトローラが最大に外に張り出すことで、プーリーは左に動きます。プーリーが左に動くことで

ドライブベルトが上えと上がって行き加速していきます。エンジンの回転数少なければプーリーが左に動く範囲が小さく低速領域となります。図1は低速の状態、赤い部分は不動の部分、青のプーリーと、黒色のウエイトローラー部分が遠心力の力で

動く部分。図2は加速時の状態、ウエイトローラーが遠心力で動き、プーリーが動いた状態。

 

 


 

プーリーはアルミで作れていることが多いのですが、ドライブベルトとの摩擦によりアルミ部分が消耗したり変形していきます。表面が変形すると15度の角度が保てなくなり角度がだんだん広くなっていくことで加速しなくなります。

 

•  ウエイトローラーのガイド(スロープ角度、スロープ範囲)

遠心力でウエイトローラで動くことは①でご説明致しましたが、ウエイトーラーが

動く時スロープを使います、このスロープの角度でどの程度プーリが動くのかが決まります。スロープの角度が少なければプーリーは殆ど動きません、スロープの角度が大きければプーリの動く範囲が広がります。

またプーリーの直径を大きくすることでウエイトローラーの動くスロープ範囲が長くなります。長くなるほど加速が上がります。 50 ccのプーリの直径は80mm程度ですが、250ccとなると180mmにもなります。

•  プーリーリブ

プーリーにはエンジンの回転をプーリーに伝えるランププレート(カム)という部品が使われており、この部品がプーリへ回転を伝えます。リブはランププレートとプーリーとを繋ぐ役目があり、これが破損したりしてしまいますと、プーリーが動かなくなってしまします。プーリーが動かない=変速が不可能ばかりか、駆動自体が伝えられなくなりますのでオートバイは動かなくなってしまいます。


このリブとランププレートの間には必ず樹脂製のクッションのような部品が使われており(スライドピース)リブを守る役目を果たしています。この部品も磨耗、消耗しますのでスムースな変速を保つには交換が必要となります。

 

下の写真はスライドピースが破損したことにより鉄製であるランププレートが直接リブに当たってしまった事により、完全にリブが無くなってしまった状態。これでは変速どころか、動力する伝えることが出来ません。