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 ウエイトローラーのお話
スクーターの変速機は複雑で様々な部品が機能し変速を可能としています。 その部品の中でウエイトローラーに注目してみましょう。
 ウエイトローラーはプーリーと言う部品の中に納まっており、車種によっては3個入っていたり、また8個も入っている車種も存在します。プーリーが回転する時に発生する遠心力によってウエイトローラが外側へと転がり、動く事で変速のために必要な動きの1部を補っています。

 ウエイトローラーの形には色々あるようですが、一般的には円筒の形をしており幅15mmのサイズから24mmの大型サイズも使われています。


左が15mm 右が24mm

 ウエイトローラーに使用されている素材は一般的に樹脂、その製法は各メーカー様々で、性能は年々良くなっていると思われます。特殊な樹脂としてはエンジニアリングプラスチック( EP )といわれる素材で一般的に利用出来るものから特殊な用途しか使われない非常に高価な素材もあり、耐久性、耐熱性、磨耗性を考えながら各用途に使用されています。

 ウエイトローラーはウエイトを保護する部分が樹脂で出来ているため磨耗し消耗していきます。消耗すると平らな部分が出来たり、直径が変形したり、転がりにくくなり、その結果変速がスムースに出来なくなります。最終的には保護している樹脂部分が破損はがれに繋がり、金属製であるウエイトがアルミ製であるプリーなどに傷をつけてしまう等、変速部品に多大なダメージを与えることもあります。 

 樹脂の部分とウエイト(重り)の部分を分離してみました。このサイズは直径20x幅15 重さ14.0gですが、重り12,1gで樹脂部分が1.9gとなりました。


 この事で分かりますように、この場合重りに対し樹脂分は1.9g。磨耗によって減ったとしても全ての樹脂部分が無くなるわけではありませんので、変速比に大きく関わるとは考えにくく、転がりにくくなることで変速がスムースに行われない物と思われます。

またウエイトローラーは種類により表、裏側があり、正しく装着する事が必要です。



左が表 右が裏
 

ウエイトローラーの向きが正しく装着されていなかったために、ウエイトローラーの金属製である重り部分がアルミ製であるプーリーのローラガイド部分と接触し磨耗している様子。


磨耗しガイド部分が
薄くなってきている
正常にウエイトローラーが
装着されていたガイド部分。
 

 ウエイトローラーには色々なサイズと重さがあり、重さを変えることにより、低中速重視、高速重視のセッティングに変えることが出来ます。一般的にウエイトを軽くすれば低速、重くすれば高速重視のセッティングになりエンジンパワーや用途に合わせて変えていくことが出来ます。

 例えばウエイトローラーが6個使用されている車種で1個が5.0gなら、全体の重さが5.0g×6個=30.0g となります。10%下げたいなら、3g減らすことになり1個当たり0.5g減らしたウエイトを選んで使用すればよいことになります。

 ウエイトローラーを軽くしていくとプーリーの回転が最大になった時の遠心力から得られる力が小さくなり高速領域では変速が出来ない事になります。

逆にウエイトローラーを重たくすると、プーリーの遠心力が低い低速領域ではなかなかウエイトローラーを動かす力が得られません。よってなかなか変速が出来なくなってしまい思うように加速しません。ですが加速しだすとプーリーの遠心力が最大になったときに重いウエイトローラーの動きが大きくなり、より加速が伸びます。

ウエイトローラーはウエイトを保護している樹脂部分が磨耗する前にメンテナンスをする事で正しい変速部品の一部として機能を果たします。

ウエイトを保護している樹脂が破損してしまい、
鉄製のウエイトがプーリーにダメージを与えている様子。


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